東京高等裁判所 昭和34年(ラ)745号 決定
仮登記をなした場合においては、本登記の順位は仮登記の順位によるべきものであることはいうまでもないから、所有権移転請求権保全の仮登記がなされた後所有権移転の本登記があつた場合には、その本登記は仮登記の順位において効力を有すべく、従つて右両登記の中間に旧所有者の債権者の申立により強制競売開始決定の登記があつたとしても、本登記があつた後においては、その債権者は旧所有者に対する債権のため、当該不動産に対し強制競売をなし得べきものではない。しかして、本件記録中の登記簿謄本(記録第二丁)によると、永代信用組合は昭和三二年九月二日債務者沢井キエとの間に、同日債務者に貸与した金一〇〇万円の貸金債権を弁済しないときは、これを条件として同債務者において代物弁済として右建物の所有権を移転する旨の停止条件付代物弁済契約を締結し、同月三日東京法務局墨田出張所受附第二四七四八号をもつて代物弁済による所有権移転請求権保全の仮登記をなし、更に同昭和三四年八月七日右条件が成就したので同月二二日同出張所受附第二六七〇〇号をもつて右組合のため代物弁済による所有権取得登記を経由したこと、右両登記の中間である昭和三四年三月二七日に債権者たる抗告人の申立により当時前記債務者所有の本件建物につき本件強制競売開始決定がなされ、同年四月二日同出張所受附第九九〇三号をもつてその旨の登記がなされていることが認めらるから、本件建物につき強制競売開始決定の登記に先立つ順位において、債務者沢井キエから永代信用組合に対する右建物の所有権移転の効力が生じたものというべく、従つて本件強制競売は許すべからざるものであることは明らかである。
(二宮 奥野 大沢)